お昼休憩は園内のハンバーガーショップとなった。
席も満席で、買えるまでに30分も待ったためにお腹はぐるぐるだ。
椅子に座らせてくれた奈子さんが、食べ物の場所を教えてくれた。
「三時にポテト、六時にハンバーガー、九時にアイスティーだよ」
「うん。わかった」
「今困ってることある?」
「ううん、ないよ。ありがとう」
わたしは声のする方向に微笑む。
細かいところまでとても気を遣ってくれて、奈子さんがいてくれて本当によかった。
慣れない場所は苦戦することが多いし、こういったテーマパークは建物の作りもお洒落だったりして、壁やインテリア、色んな物にぶつかってしまう。
一番の問題はトイレで、さすがにトイレまで奏多に助けてもらうわけにはいかないので、同性の人が居てくれるのは助かった。
「へぇーそうやって教えるんだ」
奏多が感心していた。
「クロックポジションっていうの。分かりやすくて助かるんだ」
「確かに分かりやすい! 俺はねぇ今、九時のところにいるよ」
テーブルに置いていた手が、奏多に左からちょんちょんと突かれた。
「俺は12時」
正面から哲弥さんの声がした。四人が向き合っているようだ。
テーブルの縁をさわるとカーブを描いていた。
「丸いテーブルかな」
「正解~」
みんなでハンバーガーに齧りついた。