ジェットコースターでの出来事は、哲弥さんも奈子さんもツボだったらしく、わたしたち三人は暫くの間ひーひー笑っていた。

「なー、みんな笑いすぎだって!」

「だって……なぁ?」

ぶくくくと笑いを堪えながら言ったのは哲弥さんだ。

「ジェットコースターのルート叫びながら乗るとかほんとうける! 笑わずにはいられないよ。思いだしただけでもう……!」

奈子さんは、ぶふー! と何度も噴き出してしまっている。わたしは腹筋が痛い。

「凜まで笑いすぎだよ! そんなにおかしかった? 俺めちゃ頑張ったんだけど」

「すごく、嬉しかった」

あまり笑いすぎると、奏多も拗ねてしまいそうだし申し訳ない。

(あと、すごく可愛かった)

これは内緒だ。

「こんなに笑ったの久しぶり。奏多のおかげだよ」

すぐにでも筋肉痛になりそうなお腹を擦りながら言うと、奏多は「そーお?」とちょっと不服そうだ。

「あ、ほら。写真できてるよ!」

アトラクションの出口まで来ると、奈子さんが言った。

「わ、ほんとだ。やべぇ俺の顔だせぇ」

哲弥さんが残念そうにする。

「ぎゃはは! 何あの顔! 哲弥めっちゃ怖がってんじゃん!」

奏多がここぞとばかりに逆襲にはいった。

(そうだ。たしか、ジェットコースターって途中で写真撮ってくれるんだ)

三人はとても盛り上がっていた。
いいな、と内心羨ましく思う。
仲間に入れたら、今よりももっと楽しめるだろう。

「なーなー! 凜も見ろよこれ……」

奏多が言いかけてはっと口をとじる。
すぐに「ばか」と哲弥さんが小さく叱った。

三人は、一瞬にしてすごく気まずげな雰囲気になった。