テーマパークはたくさんの音がした。
陽気な音楽に乗り物の機械音。興奮気味の悲鳴にたくさんの笑い声。

外って、こんなんだったっけ。
ずっと、こんな世界に触れていなかった気がする。

「凜って絶叫系大丈夫?」

「久しぶりだけど、たぶん大丈夫」

「よし、じゃあ行こう。俺に捕まって」

奏多が手を握って、腕へと導いた。

初めて出会った日、改札まで送ってくれた時とは大違いだ。
あの時は手を引っ張るわ急に肩をつかむわで、ビクビクし通しだったから。
思いだしてクスリと笑う。

もしかして、また、調べてくれたのかな。
歩み寄ってもらえるのは素直に嬉しかった。


「あ、何笑ってんの」

「なんでもない」

奏多はシャツの袖を捲っていた。
肘の位置がちょっと高い。
そういえば、お姉ちゃんが背が高いと言っていたし声も上から届く。
お父さんと全然ちがう。

(筋肉質だ……)

腕に直接触れるのはドキドキとした。