ぎこちなく頷くと、奏多は嬉しそうに「じゃあ、行こう」と言った。


「どこに?」

「百貨店。口紅無くしちゃったお詫びにプレゼントさせて」

「ーーーーえ?! い、いいよ。そんなの」

「俺の気が済まないからだーめ!」

「見えないのに楽しいのかって、言ってたじゃない」

「あの、失言は謝るけど、それは単純に気になっただけで、凜の化粧にケチ付けたわけじゃないからね。凜はすごく可愛いよ。
服も、髪もお洒落だし、化粧も似合ってる」

「ーーーーな、え……」

あまりのストレートさにぐっと息が詰まる。


「ねぇ、今どきの人って、みんなそんななの?」

聞いてる方が恥ずかしくなる。

「今どきって、同い年(タメ)じゃん」

「そうだけど、わたしは世間に疎いから……」

苦い顔で告げると、奏多は苦笑した。


「俺、思ったことをすぐ言ったり行動したりしちゃうんだよね。まあ、それでよく失敗して怒られるんだ」

辟易している雰囲気が伝わってきて、さっき怒鳴ってしまったわたしも思わず笑った。