ひどくカッとして、頬をたたこうとして手を振りかぶったが、空振りしてしまう。

「わ、え、何?!」

でも一発ひっぱたいてやりたくて、なんども振り回すがあたらない。

「ね、凜?! ちょっと、なに……」

ぶんぶん手を振り回していたら、通りすがりの人に、「なにあれコント?」と笑われた。

バカみたいだ。
バカみたいだ。

とうとう奏多に手首を掴まれてしまう。

「離してよっ」

「いきなりどうしたの」

「ーーーー障害者は、お洒落しちゃ駄目なわけ?!」

「ーーーー」

奏多が息を呑むのが伝わった。

「わたしだって、女なの! 外に出るときは化粧したいし、可愛い服だって着たい!
白杖もってると只でさえ注目を浴びるのに、人に見られて、恥ずかしくない自分でいたいって思っちゃ駄目なの?!」

まくし立てると、興奮したせいか涙がぽろっとこぼれた。

「ほ、ほんと、サイテー……」

1度溢れてしまった涙は止まらなくて、次から次へとぽろぽろと零れる。

何をわたしはぶちまけているんだ。
奏多も困っている。