「ーーーーうん」

思わぬ言葉を貰って嬉しくなる。


悲劇のヒロインぶる気はない。

けれどほんの少しだけ、見えない、というのがどんなことなのか、わかって貰いたいっていう気持ちがあるのが本音で。

ぐわっと胸が熱くなる。
ありがとうという気持ちが込み上げた。


「あ、わらった」

「え?」

「……うわぁ、めちゃ可愛い」


口元を覆ったのか、籠もった声がぼそっと聞こえた。

カワイイ? それがとっさに理解出来なくて、また「え?」と聞き返すと、「なんでもない!」と奏多は焦った声になった。


(今、可愛いって、言ったよね……?!)

聞こえた。
聞こえちゃったよ。
視覚障害者の聴力をバカにしちゃいけないんだから。


顔がかーっと熱くなった。
急に恥ずかしくなって、背中がムズムズとしてくる。

お世辞とか、からかってるとか、きっとそんなのだ。
大学生なんてたくさん遊んで慣れているから、特に意味も無く言うのかもしれない。