***
月に1度の定期検診の日が来た。
あの駅へ行くのは、あの日、スケボー男とぶつかって以来だ。
もともと、通院以外では殆ど行かない駅ではあったが、今後駅に行く度に、あの苦い気持ちを思いだすのかと思うと憂鬱になった。
もう2度と、あんな人達に会いたくない。
ちょっと野蛮で、わたしとは住む世界が違う。
お姉ちゃんが準備してくれていた服に着替えると、ショルダーバッグをかけ白杖を掴み家を出た。
いつも通りの診察をうけ、いつも通り「問題ないね」との言葉を貰い、飲み薬を貰って病院を出た。
病院からバスに揺られ駅につくと、いつもなら百貨店により、お姉ちゃんのショップで買い物をする。
しかし、限定販売の口紅を無くしたショックも抜けていなく、今日はそんな気分になれなかった。
またあいつらに遭遇したらって思うと怖くて、さっさと帰ろうと駅に向かって足を進めた。
そのとき、
「あ……あ……!! 見つけた……!!」
男の叫び声が聞こえた。
聞き覚えがある気がした。
聞いたことのある声だった。
慌ただしい靴音。
息を切らしている。
(もしかしてーーーー)
「ねえ! 俺のことわかる?! 先月ーー……」
「きゃあ!」
突然、白杖を持った腕を掴まれて思わず悲鳴を上げた。ざわざわとした周囲の気配が変わる。
見られている。そう感じた。
月に1度の定期検診の日が来た。
あの駅へ行くのは、あの日、スケボー男とぶつかって以来だ。
もともと、通院以外では殆ど行かない駅ではあったが、今後駅に行く度に、あの苦い気持ちを思いだすのかと思うと憂鬱になった。
もう2度と、あんな人達に会いたくない。
ちょっと野蛮で、わたしとは住む世界が違う。
お姉ちゃんが準備してくれていた服に着替えると、ショルダーバッグをかけ白杖を掴み家を出た。
いつも通りの診察をうけ、いつも通り「問題ないね」との言葉を貰い、飲み薬を貰って病院を出た。
病院からバスに揺られ駅につくと、いつもなら百貨店により、お姉ちゃんのショップで買い物をする。
しかし、限定販売の口紅を無くしたショックも抜けていなく、今日はそんな気分になれなかった。
またあいつらに遭遇したらって思うと怖くて、さっさと帰ろうと駅に向かって足を進めた。
そのとき、
「あ……あ……!! 見つけた……!!」
男の叫び声が聞こえた。
聞き覚えがある気がした。
聞いたことのある声だった。
慌ただしい靴音。
息を切らしている。
(もしかしてーーーー)
「ねえ! 俺のことわかる?! 先月ーー……」
「きゃあ!」
突然、白杖を持った腕を掴まれて思わず悲鳴を上げた。ざわざわとした周囲の気配が変わる。
見られている。そう感じた。