その日は土曜日だった。
朝テレビで午後から雨が降るかもしれないと言っていたので、傘を持参して登校した。
だが予報は大いに裏切られ、雲一つない日本晴れだった。
下校時間になっても天気が崩れることはない。
僕は友達と「雨ふらなかったよね」と苦笑いして、下駄箱の傘を取って下校した。
帰り道、友達が僕の持っている傘を見ていった。
「ねぇ童貞君、それ君の傘じゃないよ?」
「え?」
彼に言われて傘をよく見てみると色は確かに似ていたが、どこか違う。
持ち手のところを見れば、綺麗な字で「植田」と書いてあった。
クラスでも真面目で清楚な美人の植田さんの傘だった。
自分の傘と間違えて持って帰ってきたというのに、なんだろうこの高揚感。
あの植田さんが手にした傘を僕が持っているという……これは運命?
僕がそう考えていると友達がこう言った。
「いいの、童貞君? 学校に戻してこなくて」
「なんで? もう雨降ってないし、土曜だから来週植田さんに返せばいいよ」
正直傘のために学校に戻るのもしんどいし。
それに植田さんの傘なら僕は大事にしておくさ。
帰宅して、制服を脱ぐ。
パンツ一丁でリラックスしていると家の電話が鳴り響く。
「もしもし?」
受話器に出ると可愛らしい女の子の声が。
「あ、童貞くん?」
「植田さん…」
僕はドキッとした。
なんせ自宅に女子から電話なんてかかってきたことないから……。
「童貞くんでしょ、私の傘を間違えて持って帰ったの」
「うん……ごめん」
「悪いけど今から学校に持ってきて、待ってるから」
「え、今から……」
植田さんはどうやら学校の公衆電話を使ってかけてきたらしい。
僕は脱いでいた制服をもう一度着なおして、急いで学校に戻る。
それにしても植田さんはなんで傘ごときで、学校の公衆電話を使ってまで僕の家に電話してきたのだろう?
来週になれば、返すのに。
学校の下駄箱につくと植田さんが立っていた。
ちょっと顔を赤くして。
その隣には植田さんの女友達、花沢さんが立っていた。
「ほら、やっときたよ。あんたの彼氏~」
いじわるそうな顔をして花沢が言った。
え、彼氏?
僕が戸惑っていると植田さんはあたふたしながら花沢さんを小突く。
「なにいってるのよ! あ、童貞くん、傘ありがとう」
「いいよ」
「これ……童貞くんの傘でしょ」
そう言って彼女は手に持っていた僕の傘を渡してくれた。
手にすると植田さんの手の温もりを感じた。
「じゃあまた来週ね」
そう言うと彼女はそそくさと帰っていった。
わざわざ学校の公衆電話にお金まで払って、僕に傘を持ってこさせ、そしてずっと僕の傘を手で暖めていた。
そこまでする必要があるだろうか?
あの子、僕に惚れているかもしれない!
朝テレビで午後から雨が降るかもしれないと言っていたので、傘を持参して登校した。
だが予報は大いに裏切られ、雲一つない日本晴れだった。
下校時間になっても天気が崩れることはない。
僕は友達と「雨ふらなかったよね」と苦笑いして、下駄箱の傘を取って下校した。
帰り道、友達が僕の持っている傘を見ていった。
「ねぇ童貞君、それ君の傘じゃないよ?」
「え?」
彼に言われて傘をよく見てみると色は確かに似ていたが、どこか違う。
持ち手のところを見れば、綺麗な字で「植田」と書いてあった。
クラスでも真面目で清楚な美人の植田さんの傘だった。
自分の傘と間違えて持って帰ってきたというのに、なんだろうこの高揚感。
あの植田さんが手にした傘を僕が持っているという……これは運命?
僕がそう考えていると友達がこう言った。
「いいの、童貞君? 学校に戻してこなくて」
「なんで? もう雨降ってないし、土曜だから来週植田さんに返せばいいよ」
正直傘のために学校に戻るのもしんどいし。
それに植田さんの傘なら僕は大事にしておくさ。
帰宅して、制服を脱ぐ。
パンツ一丁でリラックスしていると家の電話が鳴り響く。
「もしもし?」
受話器に出ると可愛らしい女の子の声が。
「あ、童貞くん?」
「植田さん…」
僕はドキッとした。
なんせ自宅に女子から電話なんてかかってきたことないから……。
「童貞くんでしょ、私の傘を間違えて持って帰ったの」
「うん……ごめん」
「悪いけど今から学校に持ってきて、待ってるから」
「え、今から……」
植田さんはどうやら学校の公衆電話を使ってかけてきたらしい。
僕は脱いでいた制服をもう一度着なおして、急いで学校に戻る。
それにしても植田さんはなんで傘ごときで、学校の公衆電話を使ってまで僕の家に電話してきたのだろう?
来週になれば、返すのに。
学校の下駄箱につくと植田さんが立っていた。
ちょっと顔を赤くして。
その隣には植田さんの女友達、花沢さんが立っていた。
「ほら、やっときたよ。あんたの彼氏~」
いじわるそうな顔をして花沢が言った。
え、彼氏?
僕が戸惑っていると植田さんはあたふたしながら花沢さんを小突く。
「なにいってるのよ! あ、童貞くん、傘ありがとう」
「いいよ」
「これ……童貞くんの傘でしょ」
そう言って彼女は手に持っていた僕の傘を渡してくれた。
手にすると植田さんの手の温もりを感じた。
「じゃあまた来週ね」
そう言うと彼女はそそくさと帰っていった。
わざわざ学校の公衆電話にお金まで払って、僕に傘を持ってこさせ、そしてずっと僕の傘を手で暖めていた。
そこまでする必要があるだろうか?
あの子、僕に惚れているかもしれない!