「……昨日…彼氏に振られて最悪の誕生日だと思っていたのに…
起きたら今日はこんな素敵な日で感情が追いつきません……ありがとうございます」

結城さんは涙を手で拭ってくれて……私達は自然に長い深いキスをしていた

「ごめんなさい…口紅ついちゃった」
結城さんの唇を今度は私が指でなぞる

「構わない」
ともう一度唇を合わす

大人のキスだ……当然こんなイケメンでモテるだろうし
経験もたくさんしてきてるだろうなと思いながらもキスだけで結城さんに惹かれていきそうな自分がいる


「結璃菜……もう一度抱かせて欲しい」

花束をテーブルに置き結城さんの首に腕を回した
結城さんはお姫様抱っこをしてくれて寝室まで運んでくれてさっき着替えた服をまた脱ぐことになった

自分が今までとは違う声を出していることに初めて気づく

「結璃菜……可愛い」
「っそんなこと言われたことないっ」

「こんなに可愛い結璃菜は俺の前だけでいいよ」

「……わかっ……た……」
はぁはぁ……

こんなに体力使うものだったっけ
結城さんはシャワーを浴びに行った

「結璃菜、大丈夫?」
少しウトウトしていたようだった

「あっ、大丈夫」
「シャワーする?少し寝る?」

「でも結城さん午後から仕事ですよね?」
「うん、結璃菜とゆっくり話したかったけど2時から講演がある」

「そんなのもあるの?」
「うん」

「結城さんの世界の事はまだ全くわからないのに婚約者でいいのかな?」
「大丈夫だよ……来週空いてるかな?」

「はい」
携帯を出した時にLINEの交換をした

結城さんは携帯を2台持っていて書道用と個人用で使い分けていた

今はLINEやネットワークでの教室もしているからプライベートの連絡先はきっちりわけていると言っていた

結璃菜のアカウントは個人用に追加された
仕事用のLINEも少し見せてもらったが数が凄かった

ちゃんとどういう人かわかるように自分でフルネームと練習曜日などを編集していた

「私は本名で呼べばいい?それとも雅号?」
「基本名前だけど書道関係で話す時はうまく使い分けてもらうと有難いかな」

「わかった……かえでまるって本名?」
LINEに追加された名前は楓丸と書いてあった

普通でも自分のあだ名とかでアカウント作る人もいるんだからおかしくはない

「よく言われるんだよね(笑)これで楓丸(ふうま)って呼ぶんだ」

「じゃあ、楓丸さんて呼べばいい?」
「呼び捨てがいいけど(笑)」

6つも上なのに呼び捨てはさすがにできないかも

「楓(ふう)くん?」
「楓くんて呼ばれたことないかも……」

「じゃあ、私だけの特別な呼び方で楓くんにする」
「わかった……特別嬉しいな」

ケーキは箱に入れてもらい花束を持って部屋を出る時間になった

「土曜日の1時に結璃菜の家に行くから」
「はい、お願いします」

部屋を出る時に軽くキスを交わして結璃菜はホテルを出て家に戻った