「え?いいの?ごめん、ちょっとヤキモチ妬いただけだよ」
「いいよ、使ってないし、最近は仕事用の方で動かしてたから」
「先週も一緒だったんでしょ?」
「仕事は仕事(笑)仕事から離れるためにホテル泊まったりしてるの結璃菜に話したろ?」
「うん、もうわかった(笑)でも坂本さんには言えないじゃん」
「だな……ご馳走様」
「ご馳走様でした」
食事を下げてもらって楓くんは少し寝るとベッドに入った
どうしようかな、今日本当は練習日だし
1度帰るか
楓くんのメモ帳の上から
〝 着替えに帰ってきます〟
と書いて家に戻った
1時間程して楓丸が起きてメモ帳を見る
ちょっとは上達してるじゃん(笑)
結璃菜の伝言の字を見て嬉しくなった
“ 明日ホテルから会社に送ってやるから着替え持ってきておいて”
さて……明日には……
次の日の朝食を食べながら楓丸が言った
「結璃菜、今日は買い物に行こう」
「買い物?服とか?」
「指輪」
「指輪って?」
「婚約指輪だよ」
「えー、いいよ、勿体ない」
「俺は昨日会社の人に婚約者と言った」
「ごめん、覚えてない」
「指輪しておけば会社で結璃菜の事を狙う男もいなくなるし、樹里も流石に諦めるはず」
「うーん……でも安いのにしよ」
「もう、俺はいつ結婚してもいいと思ってるんだよ?」
「ありがと、ちゃんと考えるね」
そして結局はそこそこのお値段の指輪を買ってもらった
楓くんには適わないのだ
何でも言いくるめられてしまう