楓くん関係なしに同じ課なんだから仕事とプライベートは分けなきゃなと思った

土曜日の午後楓くんの教えが始まった
「写真撮るよ」
「やっぱり恥ずかしいなぁ」

小学校1年生の課題のひらがなを書かされた
「まっすぐに線を引くのって難しいんだね」

「それを結璃菜が解ればもっと上手くなるよ」

ふう……
結璃菜は軽く息を吐いた

「今日はここまで」
「ありがとうこざいました」

「だいぶ集中してる時間が長くなったな」
「ほんと?(笑)」

結璃菜はシンクで筆を洗いコーヒーの準備をする

「楓くん、チーズ大丈夫?」
「うん」

「朝ね、チーズケーキ作ったんだー」
「え〜すげーじゃん」

「コーヒーも……ん?」
玄関からピンポンと音がした

「俺が出るよ」
「ごめーん」

古いアパートだから小さい丸い穴から外を見る

「結璃菜、男がいる」
「開けて聞いてよ」

鍵を開けてドアを開けた
「あれ?小鳥遊さんの家じゃ……」

「そうだけど、結璃菜に用?」
聞き覚えのある声がして水を止めて手を拭く

「将真、何しに来たの?」

「誰?」
「元彼」

「何で?」

「知らない……何で来たの?ボロいアパートだから1回しか来たことなかったくせにって言うか今日バイトでしょ?」

「結璃菜と話したくて休んだ」
「彼女がいるじゃん」

「……別れた」

シーンとみんな黙った

「元彼くんさ、二股かけて結璃菜の方を振ったのに今更?俺は結璃菜の今彼」

「マジでもう彼氏いたのかよ」
「前にデートって言ったじゃない」

「強がりで言ってるかと……」

「君ね、そんな風に結璃菜の事を信じないからダメなんだよ、まあ、結璃菜を振ったから出会えた訳だし少しは感謝してるよ」

「私もよ……次はいい子と出会えるといいね」
「…………っ」

将真は去っていった

「何だよ、彼女と別れたからまた結璃菜とより戻そうかと思ったのか?」
「多分ね(笑)よかった、楓くんがいてくれて」

「また来てもドア開けるなよな」
「わかった〜」