駅に向かうと会いたくない人に会ってしまった
「あっ、結璃菜」
「将真、何でここに?」
「これからバイト」
将真の家はこの駅ではない
実家暮らしだからもっぱらデートは外だった
「彼女の家から店に向かうんだね」
「……まぁ」
私のアパートには泊まったことはなかったのに今カノの所には泊まるんだ……
1度来てからは絶対に来なかったのはやっぱりボロいアパートのせいだ
「いつから二股かけてたの?」
「……何で知って……」
焦った顔をしていた
「勘よ」
「春にサークルに入ってきた子で割りと積極的で……その……ごめん」
「もういいよ……ただ誕生日に一緒にお酒呑むことは覚えておいて欲しかったかな」
「土曜日に会おうと思ってた、プレゼントも買ってたし」
そうなんだ……
「……もう遅いよ……一日のすれ違いが別れる原因になったんだから」
「全部俺が悪い」
「そうだね……でも私も別れた後に新しい出会いがあったから将真にも少し感謝だよ
これからデートなの、じゃあね」
電車がきて、当然将真とは違う車両に乗った
楓くんに会いたい!
電車から降りると急いで泊まっていたホテルに向かう
部屋に行き呼び鈴を鳴らす
ガチャっと開くと楓丸に飛びついた
「びっくりしたー、結璃菜、どうした?」
「……楓くんに会いたかった」
「だから送っていくって言ったのに」
「……駅でね元彼に会ったの、今カノの所からバイトに行く途中だった
私のアパートは一度も泊まってくれなかったのに……って嫌な感情が出てきたんだけど一応謝ってくれたから私もお礼を言ったの……
あの後出会いがあってこれからデートなのって……
ちゃんと堂々と言えたよ!」
楓くんに話したくて一気に言葉を並べた
「……偉かったな、結璃菜」
「……うん」
楓くんは私の頭をポンポンとしてくれる
「元彼になんてもう渡さないから……こんないい女手放せるかよ」
「うん!」
楓くんの首に手を回してぴょんぴょん跳ねる
「あー、また抱きたくなる」
「ダメだよ(笑)行こう」