儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

「あ、いや…やっぱりなんでもない!」
咲良はそう言って、早く戻ろうと私の腕を引いて、屋上を後にしようとした。咲良が何か誤魔化すなんて珍しい。まぁここで何か聞いちゃうと機嫌悪くなるから、何も聞けないのだけど…。そうやって私は、他人に合わせることしか出来なくなってしまった。いつから、自分の意見を言わなくなっただろう。
休み時間は毎回咲良が私の席に来てくれて、1人の時間が一時もなくなってしまった。でも、愁の事を考えていない時間は無かった。ましてや学校にいる時間、つまり、会えない時間の方が入院している時よりも増えてしまったため、今は何しているんだろうとか、何を考えているのかなとか、一つ一つの事が気になってしまう。愁の事を考えている時間は、幸せでいられた。もちろん咲良と過ごす時間も幸せだけれど、両親みたいに、咲良の事も危険に巻き込んでしまうのではないかという不安は多少ある…。
私が色々考えている事を、傷が痛むと思ってしまったのか、咲良はものすごく心配してくれた。