儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

やっぱり、最後の挨拶しといた方がいいかな…。でも会いたくないって言われたから、拒絶されるのも怖い…。どうしよう。
早く、早く決めなきゃ…。
愁の顔が頭をよぎった。私が退院して、病院を出た後の表情。きっと、優しい愁は、悲しんでくれるはず、寂しいって思ってくれてるはず。でも私には直接言えなかったとしたら?何か愁が隠していて、それと関係しているから私を突き放そうとしていたら?
私の勝手な考えだったけど、動かずにはいられなかった。回復した足を前に前に動かして、屋上へ向かった。
屋上への扉を思いきり開けると、いつもの場所に愁はいなかった。いつもここにいるって言っていたのに…どうして?どうしていないの…。私は再び扉を開け、下の階へと向かった。息が苦しい、もう止まりたい、でも愁が待っている。きっと待っている。
しかし、私は肝心な事を思い出した。…愁の病室、知らない……。佐々木さんに聞けば教えてくれるだろうか。いやでも、確か病室の番号も一応教えられないことになっていると言っていた。受付で聞けるだろうか。でも下にはお義母さんがいる。見つかったら帰ることになってしまう。