儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

私は、彼の背中をさする事しか出来なかった。彼がどうして謝るのか分からない。
ただ、背中をさする事しか出来ない自分に悔しさを感じ、唇を噛み締めた。
気付いたら、太陽がもう西に傾いていた。
夕日、綺麗だなぁ…。
以前にも、誰かと夕日を見た気がする。
その人との思い出が多すぎるせいか、こうして思い出せない事が多い。その事が、少しストレスになってしまっている。
「愁…、落ち着いた、?」
「……うん、大丈夫。ありがと」
彼は、目の下を赤くして笑っていた。無理、してるのかな…。彼はまた泣きそうになったのか、顔を上に向け、涙が流れないようにしていた。それを見ている事しか出来ないなんて、とても悔しい。でも、1番苦しいのは愁だ。佐々木さんの話によれば、愁は生まれた時からの持病で、学校にも通っていないらしい。ずっと入退院を繰り返しているらしいから、おそらく勉強がついていけないのだろう…。両親の死に囚われて、何もかも投げ出していた私とは全然違う。