目覚めた時は、事故にあってから1日が経っていて、驚いてしまった。そんな長く寝ていたなんて。
…この白い世界、懐かしいな。この鼻にツンとくるような臭いも変わっていない。
ここは、私の家族が事故にあった時に搬送された病院と同じらしい。
そういえば、ここ最近の行った場所は分かるのに、誰といたかが分からない…。顔にモザイクがかかったように、私の思い出の中の人が思い出せない…。
誰かと一緒に過ごしていた気がする。
私にとって、とても大切な人。一緒にいたいって願うような人。
あれ…?私は…、誰と過ごしていたっけー。
そう思っていたら、病室の扉が思い切り開いた。勢いがありすぎて扉がバウンドしているくらいに力強く扉を開いたのは驚いたことに、私のお義母さんと妹の美麗だった。呼吸をハァハァとさせながら、私から視線を離さない。私が驚いて目を見開いていると、美麗がズカズカと地を鳴らすように歩いてきて、こう言った。
「お姉ちゃん…大丈夫なの?!何してんのよ!事故になんかあって…死んじゃったかと思ったじゃん…っ!」
美麗は話している途中から、目に涙を溜めていて、糸が切れたように泣き出した。このまま池を作ってしまうのではないかと思うくらい泣いていた。
「夏海…心配したのよ…良かったわ、無事で…」
お義母さんも、目には涙を溜めていて、人差し指で拭った。
「え……なんで、なんで心配なんか…」
私はただただ驚くことしか出来なかった。だって、私の事嫌いなんじゃないの?
「心配するに決まってんじゃん!!家族でしょ?!」
私の疑問を吹き飛ばしてくれたのは、美麗だった。涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらも、良かった良かったと言ってくれていた。
あぁ、私はなんて最低なんだろう。勝手に2人が私の事を嫌っていると勘違いしていた。そう決めつけていた。1人は寂しいって思っていたけれど、私は自ら孤独を選んでいたんだ。私も緊張の糸が無くなったのか、2人と一緒に泣いていた。周りから見たら大袈裟だったかもしれない、迷惑だったかもしれない。でも、私達3人にとっては絶対に忘れることのない大切な時間になっただろう。
ちょうど私達が落ち着いてきた頃、3人でお話出来るかなと思っていたが、医師に呼ばれたため、渋々病室を後にした。
頭に衝突したため、後遺症が残るだろうと思われていたが幸いにも残らなかったため、リハビリを頑張ればいつも通りの日常に戻れるらしい。私はふと思い出し、ここ3ヶ月間のある人物だけの記憶が思い出せない事を医師に伝えたら、思わぬ返答がきた。
「おそらく、系統的健忘でしょう…。検査では分かりにくいので、こうして患者様から聞かないと、気付くことが出来ないことがほとんどです。放課後の事だけが思い出せないんですよね?」
「はい…。場所は覚えているんですけど、会話や人物が分からないんです…。」
「そうですか…。系統的健忘というのは、特定の人物や家族など、特定の人の記憶が無くなってしまうことです。世間で云う『記憶喪失』ですね…。でも大丈夫ですよ、その時行った場所に行ってみたり、その人物とまた奇跡的に再会出来たり、もし出来なくても、他の人でもいい。その時の会話と似た言葉を言われた時などに、突然記憶が戻ってくるケースが多いですから。だから、すぐ記憶が戻る事も稀じゃない、一緒に頑張っていきましょうね」
まさか、記憶喪失だなんて…。漫画やアニメでよくある事だが、実際なるなんて思いもしなかった。
でも、実際なってしまったのだから仕方がない、出来るだけの事はやってみよう、そう思い私は先生に会釈をし、審査室を後にした。
…この白い世界、懐かしいな。この鼻にツンとくるような臭いも変わっていない。
ここは、私の家族が事故にあった時に搬送された病院と同じらしい。
そういえば、ここ最近の行った場所は分かるのに、誰といたかが分からない…。顔にモザイクがかかったように、私の思い出の中の人が思い出せない…。
誰かと一緒に過ごしていた気がする。
私にとって、とても大切な人。一緒にいたいって願うような人。
あれ…?私は…、誰と過ごしていたっけー。
そう思っていたら、病室の扉が思い切り開いた。勢いがありすぎて扉がバウンドしているくらいに力強く扉を開いたのは驚いたことに、私のお義母さんと妹の美麗だった。呼吸をハァハァとさせながら、私から視線を離さない。私が驚いて目を見開いていると、美麗がズカズカと地を鳴らすように歩いてきて、こう言った。
「お姉ちゃん…大丈夫なの?!何してんのよ!事故になんかあって…死んじゃったかと思ったじゃん…っ!」
美麗は話している途中から、目に涙を溜めていて、糸が切れたように泣き出した。このまま池を作ってしまうのではないかと思うくらい泣いていた。
「夏海…心配したのよ…良かったわ、無事で…」
お義母さんも、目には涙を溜めていて、人差し指で拭った。
「え……なんで、なんで心配なんか…」
私はただただ驚くことしか出来なかった。だって、私の事嫌いなんじゃないの?
「心配するに決まってんじゃん!!家族でしょ?!」
私の疑問を吹き飛ばしてくれたのは、美麗だった。涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらも、良かった良かったと言ってくれていた。
あぁ、私はなんて最低なんだろう。勝手に2人が私の事を嫌っていると勘違いしていた。そう決めつけていた。1人は寂しいって思っていたけれど、私は自ら孤独を選んでいたんだ。私も緊張の糸が無くなったのか、2人と一緒に泣いていた。周りから見たら大袈裟だったかもしれない、迷惑だったかもしれない。でも、私達3人にとっては絶対に忘れることのない大切な時間になっただろう。
ちょうど私達が落ち着いてきた頃、3人でお話出来るかなと思っていたが、医師に呼ばれたため、渋々病室を後にした。
頭に衝突したため、後遺症が残るだろうと思われていたが幸いにも残らなかったため、リハビリを頑張ればいつも通りの日常に戻れるらしい。私はふと思い出し、ここ3ヶ月間のある人物だけの記憶が思い出せない事を医師に伝えたら、思わぬ返答がきた。
「おそらく、系統的健忘でしょう…。検査では分かりにくいので、こうして患者様から聞かないと、気付くことが出来ないことがほとんどです。放課後の事だけが思い出せないんですよね?」
「はい…。場所は覚えているんですけど、会話や人物が分からないんです…。」
「そうですか…。系統的健忘というのは、特定の人物や家族など、特定の人の記憶が無くなってしまうことです。世間で云う『記憶喪失』ですね…。でも大丈夫ですよ、その時行った場所に行ってみたり、その人物とまた奇跡的に再会出来たり、もし出来なくても、他の人でもいい。その時の会話と似た言葉を言われた時などに、突然記憶が戻ってくるケースが多いですから。だから、すぐ記憶が戻る事も稀じゃない、一緒に頑張っていきましょうね」
まさか、記憶喪失だなんて…。漫画やアニメでよくある事だが、実際なるなんて思いもしなかった。
でも、実際なってしまったのだから仕方がない、出来るだけの事はやってみよう、そう思い私は先生に会釈をし、審査室を後にした。