その時、ちょうど信号が赤になってしまった。なんで今赤になるの…、早く、早く、青になって…!
さっきよりも強くなっていた雨は、まるで私の悲しい感情の強さを表しているみたいだ。
今だけ、今だけ泣かせて。
私は、自分の涙なのか雨なのか分からないけれど、頬に流れているものを袖で拭った。
信号が青になり、横断歩道を渡っていると、なぜか私は真ん中で止まってしまった。なんで、なんで…。なんで、あのトラック、止まろうとしないの…?
動かなきゃ、動かなきゃ。でも、そう強く思う程、足が言う事をきかなかった。
まるで走馬灯のように、3年前の事故が脳裏に浮かんできた。
あの事故は3年前。愁が事故にあって記憶を喪ってしまったのも3年前。
一緒に横断歩道を渡ろうとしていた子は、私と同い年くらいだった。そして、あの白い髪、青色の美しい瞳。あの時は深く彼の事を見ていなかったから、今まで考えようともしなかった。あんなにも美しい人はそうそういない。