「…愁？お願い、嫌だよこんなの…。私、愁がいなかったら変わることなんて出来なかったっ…。愁がいたから、2人の死にちゃんと向き合って、強くなれたんだよ…？だから、居なくならないでよ…もっともっと愁といたいよっ…。」
私が『2人の死』と言った時、愁はピクッって、一瞬驚いていた気がした。その後すぐに泣き出しそうな顔で、顔を思い切りあげてくれた。本当に泣き出してしまいそうな顔で。
今日、初めて目が合った。初めて、ちゃんと話した気がした。
「僕は、君から幸せを奪っちゃったんだ…。」
彼はそう言った。
私から、幸せを奪ったって、どういう事…？
なんで、愁がそんな事言うの…？
愁は、幸せを奪ったどころか、幸せをたくさん私にくれたんだよ…？
「だから、ごめんね夏海…。ここでさよならだよ…」
「嫌っ、だよ…。理由くらい、教えてよ…、愁……。」
彼は、無理やりな笑顔で笑い、私達の思い出の場所から去っていった。