「愁!久しぶり!」
私はなるべく笑顔で、明るく言ったつもりだった。でも、愁の顔は、とてもいつもの明るい彼とは思えないくらい、暗い表情をしていた。やっぱり、記憶が…。
「……あ、夏海、久しぶりぃ」
彼は、疲れたような表情をして笑った。全然、いつもの彼の笑顔じゃない。彼はもっと、無邪気な子供のように、病気なんて気合いで吹き飛ばすくらいの元気さで、笑うのに…。
「ねぇ、愁…」
「ごめん夏海。僕、夏海とはもう会えない…。こんな僕と、今まで一緒に過ごしてくれてありが」
え…?なんで?どうして?
彼は、私の言葉を遮って、こう言った。
「わ、私何か愁の事傷付けた?!どこか嫌だった?!だったら言って!全部、直すからっ…。だからお願い…。会わないなんて、言わないで…よっ…。」
彼の考えを変えたくて、必死に理由を聞いた。でも愁は何も言わない…。彼は顔を少し下に向けていて表情は見えなかったけど、唇を噛み締めていた。