6時間目が終わった後に咲良が私の席に来て、「駅前のカフェ行かない?!」と、誘ってくれたけど、今日だけは丁重にお断りした。だって今日は愁の記憶が戻る日。絶対そばにいたいって思ったから。
咲良は少し寂しそうにしたけど、すぐに顔を明るくして、次こそ一緒に行こうねって言ってくれた。中学の時は少し口が悪くなる時があったけど、今は凄くふわふわした感じで可愛い。ほんと、3年間で人ってこんなにも変わるんだと痛感した。
急いで学校を出る準備をして、咲良にまたねと言い、教室を飛び出した。

今日は、少し曇りだな。愁、いるよね…?
今日はいい事があったのに、私の心は快晴ではなかった。愁、大丈夫かな。早く、早く会って、そばに居てあげたい。
丘に着いた時には、少し小雨になっていた。このままだと、絶対土砂降りだな…と、少し落ち込んだが、彼の前では笑顔でいたいと思い、頬を軽くパチンと叩き、よし!と、小さな声で言って、愁の元へ向かった。