前までは、怖くて何も言えなかった私が、梨々花に自分の気持ちをぶつける事が出来た。これも、全ては愁のおかげだよ、ありがとう。
「…もうやめてよっ!」
階段に響き渡った声をあげたのは、驚いた事に咲良だった。このことは梨々花達も驚いたらしく、目を見開いていた。私も、息の仕方が分からなくなってしまったかのように、呼吸するのを忘れていた。それくらい驚いた。
「さ、咲良…?どうしたの?」
この沈黙を破ったのは、梨々花だった。
まだ彼女もこの状況を理解出来ていないのか、しどろもどろしていた。
「もういい加減こんなのやめようよっ…私、夏海が悲しい顔してるの見るの、辛いよっ…嫌だよ…」
まさか、咲良からこんな事言われるなんて…。私が中学の時、離れていっちゃったから、咲良の気持ちも考えないで…。もっと、頼れば良かったんだ。もっと、甘えれば良かったんだ。この3年間、咲良は何を思っていたんだろう。私があの時離れなかったら。
ううん、後悔するのはやめよう。