「私、思わせぶりなんかしてないよ…。梨々花は、柊君が私しか見てなくて嫉妬してるだけなんじゃないの?」
怖かった、私の発言で誰かを傷ついてしまうかもしれないって。
言葉は、体へと傷とは全然違う。その言葉が心に響けば、人は変われる。それとは対象に、その言葉で傷ついてしまったら、一生物の治らない傷になってしまう。体への傷は、いつか跡形もなく消える。その言葉で人の人生を変えてしまう事だってある。私はこれを、両親の死を目の当たりにして気付くことが出来た。今まで辛いことばっかりだったけど、両親の死が最後の子供へと教育というものは、こういう事なんだと私は思う。確かに、両親のいない人生は考えられないと、ずっと2人の死から逃げてきた私。3年間、そうやって考えてきた。そんな弱い私に、幸せをくれた彼。喜びを感じさせてくれた彼。
私、変わるよ。愁の勇気と共に。
梨々花は、図星をつかれたというような顔で私を睨んできた。