咲良以外の3人が、私に向かって一気に話しかけてきた。
「ねぇ夏海、あんた柊の事どう思ってんの?」
「……え?」
「とぼけた顔してんじゃねぇよ」
さっきまでの笑顔とは裏腹に、顔には、怒りがこもっていた。
「柊はまだあんたの事諦めてないんだけどさ、なんなの?いつも私達が何かすると必ず柊が夏海を心配して助ける、思わせぶりでもしてるつもり?」
そんな事する訳ないじゃない。彼みたいな優しい人とは関わっちゃいけないのに、彼は必ず私を心配して周りを見ずに駆けつけてくれる。最近友達と話している気配がなくなってきたのは、多分私と関わっているせい。彼の友達はみんな、私といるから離れていってしまったんだ。
梨々花の言う『思わせぶり』に対して、何も言えなかった。今まで私のことを好きになってくれたのも彼だけだし、高校に入って心配してくれるのも彼だけだった。でも、1人は嫌って思って、彼をきちんと突き放そうとしなかった。愁と出会う前までは。私には、愁がいる。いつか別れが来るとしても、愁が心の中にいてくれたら、それだけで勇気が貰える。私、頑張るよ、愁。