「夏海見て、月が綺麗だよ」
そう言いながら、彼は目を輝かせて月を指さし、眺めていた。
愁は知らないの?
夏目漱石が「月が綺麗ですね」を「好き」って表現したんだよ。知ってて言ってるなら、もの凄く嬉しい。でも多分愁は、好きな人が出来ても言葉にしないだろう。もしその『好き』が叶っても、自分と過ごす未来は限りなく短いから。相手を悲しませないように、自分の気持ちを蓋を閉めようとする、そんな優しさに溢れている人だから。
今だけ、今だけでいいから、その言葉の表現に甘えるね…。
「私にとって月は、ずっと綺麗でしたよ…」
「…夏海?それどういう意味なの?」
ほら、やっぱり。
「ううん、なんでもないよ…」
初めて異性を好きになった。それなのに、私たちが共に過ごせる期間は短い。どんなに願っても、叶うことのない望み。
「記憶が戻るのは…いつか分かってるの?」
このままこの話をすると、泣いてしまいそうだったから、愁から話題を振られる前に私から記憶の事を聞いた。
「それが、明後日なんだって」
「え!そうなの?!早いね、おめでとう!」
そう言いながら、彼は目を輝かせて月を指さし、眺めていた。
愁は知らないの?
夏目漱石が「月が綺麗ですね」を「好き」って表現したんだよ。知ってて言ってるなら、もの凄く嬉しい。でも多分愁は、好きな人が出来ても言葉にしないだろう。もしその『好き』が叶っても、自分と過ごす未来は限りなく短いから。相手を悲しませないように、自分の気持ちを蓋を閉めようとする、そんな優しさに溢れている人だから。
今だけ、今だけでいいから、その言葉の表現に甘えるね…。
「私にとって月は、ずっと綺麗でしたよ…」
「…夏海?それどういう意味なの?」
ほら、やっぱり。
「ううん、なんでもないよ…」
初めて異性を好きになった。それなのに、私たちが共に過ごせる期間は短い。どんなに願っても、叶うことのない望み。
「記憶が戻るのは…いつか分かってるの?」
このままこの話をすると、泣いてしまいそうだったから、愁から話題を振られる前に私から記憶の事を聞いた。
「それが、明後日なんだって」
「え!そうなの?!早いね、おめでとう!」