それから私たちは、どのくらい泣いていただろう。時間も忘れて、気が付けばもう、薄暮になっていた。空はまるで、絵の具のパレットのようにたくさんの色が塗られていた。
夕日のオレンジ、夜の青、夕日と夜の境界線には水色。
私達は今まで泣いていたのが嘘のように、それの景色に目を奪われた。
「愁、空綺麗だね…」
「そうだね…」
「ねぇ…。今日は、夜まで一緒にここに居たいんだけど、愁は大丈夫…?」
病気の子を、寒い夜の中にいさせてしまうのは気が引けたけど、どうしても今日は、長く一緒にいたかった。なぜか、もう二度と愁に会えない気がしたから…。
「僕は…、多分大丈夫だよ。病院の人にバレたら怒られるかもだけどね」
そう言いながら、彼はクスリと笑った。いたずらをした子供のように、無邪気な笑顔。
どうして、彼といる時はありのままの自分でいられるのだろう。
どうして、彼といると、落ち着くのだろう。
どうして、彼ともっともっと一緒にいたいって願ってしまうのだろう。