いつかは必ず治って、ずっと笑い合える未来が普通だと思っていた。でも私は何も知らない、愁の事も、病気の事も。
私が丘に着いてから数分経って、愁は目を擦りながら体を起こした。
「ふわぁ〜、なんだぁ、来てたなら起こしてくれて良かったのにぃ」
あくびをしながら話すから、語尾が少し可愛い。愁がいると、私は自然に笑顔になれる。
「ごめんなさい、あまりにも気持ちよさそうに寝てたから」
「待たせちゃってごめんね?日光が気持ちよくて、つい」
愁は、優しい。その優しさが、私は好き。どんな時でも人を優先するような優しさ。でもそれが、愁の心を縛っているのなら、私の前だけでもいいから本当の愁でいて欲しい。
「ねぇ、愁…」
「どうしたの?そんな暗い顔して、何かあった?大丈夫?」
愁はいつもこうやって心配してくれる、『大丈夫?』って。その後、私の話を聞いた愁は、優しい声でそっかそっかって言いながら、私の背中をさすってくれる。