「夏海、？無理してない…？大丈夫だよ、言いたくなかったら言わなくてもいいし、伝えたかったら、ゆっくりで」
そう言って彼は、私の背中をさすってくれた。
手の温もりが、とてもお母さんそっくりで、余計涙が溢れかえってきた。それでも、愁にこの気持ちを伝えたい。きちんと、自分の過去に向き合いたい、そう思った。
「ありがとう、愁。でも大丈夫」
愁になら、自分の弱さを見られてもいいと思えた。
「それでね、私がお母さんに反対するまで行きたかったのは、当時はお父さんの仕事が忙しくて、なかなか話す機会がなかったの。周りはみんな反抗期が来てたけど、私はお父さんもお母さんも大好きだった。それで、旅行2日目の道が、大雪の影響で凍ってる所が多くてね、私もよく転びそうになったけどお父さんが毎回支えてくれてた。その時信号が青になって渡ろうとしたら、凍った道路を止まろうとしないで進んでくる車が私達に突っ込んできた、お母さんは私を守ってくれたけど、お父さんは一緒に信号を渡っていた当時私と同じくらいの男の子を庇った…。あの時、私がお母さんの案に反対したから、2人は亡くなっちゃったんだ…。だから私、幸せになっちゃ、いけないんだよっ…。」