どうして自分なんだろう、周りはみんな健康で元気で、どうして自分だけこんな人生なんだろうと、私なら思ってしまう…。
「辛さは、人それぞれ違うんだよ。夏海は、夏海なりの辛さがある、僕と比べるんじゃなくて、自分の辛さに向き合ってみて?」
心が噴水だったら、今とても溢れかえっているだろう。辛さは人それぞれ違う、か。
私は、誰かにずっと助けを求めていたんだ。
それは、他の誰でもない愁に。
愁は、私が1番欲しい言葉をくれる。
その思いに応えたい。
「少し、長くなっちゃうんだけど、いい?」
「全然いいよ、夏海が辛いなら、ずっとそばで聞いててあげるから」
彼はそう言って微笑んだ。
「私は3年前、両親を事故で亡くしたんだ。温泉旅行に行ってたの、でもその日の前日は大雪でね、旅行に行く前の天気予報にも大雪になるっていうのはきちんとテレビでやってたの。その時お母さんは大雪だから旅行は延期にした方がいいかもって言ってたんだけど、私はそれに反対した。どうしても家族と旅行に行きたかったから…。」
あぁ、涙が、溢れてくる…。あの時の言動を、何度悔やんだだろうか。2人の思い出を思い出すのは、こんなにも辛いことだったなんて…。