何か、辛いことがあるのだろうか…。
何か、寂しい時があるのだろうか…。
「愁にも、何か辛いことがあるの、？」
聞いてはいけないと思った。でも、愁を支える存在になりたい、そう思ってしまった。
「あ、えっと、僕は……」
「うん？」
「病気なんだ…。」
「えっ、病気…？」
「うん……。」
え、嘘、そんな、そんなに重いものだったなんて……。何が『支える存在になりたい』だ。私がそんな大きな存在になれるわけないのに…。
「その病気は、治るんだよね、？」
「それはまだ分からない、かな…。」
「あ、そうだよね。ごめん、こんな事聞いて」
「いや、大丈夫だよ」
そして、彼はまた笑った、まるで何もかも諦めているような、それでも、必死に生きたいって訴えているような。
どうして彼は辛いはずなのに、そんなに笑えるのだろうか。私は、両親の死に囚われられたまま、時間が止まって。でも、それでも2人の死は自分のせいじゃない、私が変えられる運命じゃなかったって逃げていたと言うのに。