そこで、クスクスと小さな笑い声が聞こえた。
声の方に目を向けると、やはり梨々花達のグループ、咲良は下を向いていた。咲良もこんな私の惨めな姿を見て喜んでいるのだろうか。
中学の時、確かに私が悪かった。両親の事故をきっかけに別人のようになって、咲良とも距離をとった。咲良まで、不幸にしたくないから。
クラスのみんなは、誰も助けてくれないんだな、この空気感で助ける方が凄いけど。私にはみんなの気持ちが分かる、ここで助けたら、自分が標的になるのに恐れていることを。私も中学の時同じ気持ちだったから…。
私は鞄からハンカチを取って、机を拭いた。ここで柊君にこの状況を見られたら余計面倒になってしまうと思ったから。
しかし、その希望は叶わなかった。
私がまだ、机の3分の1を拭いていた時、教室のドアが開いた。そこには、柊君がいた。
「お前ら、何してんの?」
また、同じ事を言わせてしまった、私が弱いからだ…。彼は私と同じ立場に来ていい人じゃない。お願い、助けてくれなくていい。また私のせいで誰かが不幸になっちゃう。