儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

夏海にはね、人を幸せにする力があると思う。ううん、絶対にあるよ。
だから、これから先、大切な人が出来たら、その人の事を幸せに出来るよ。
本当は、その相手は僕が良かった。
僕が夏海を幸せにしたかった。
短い間だったけど本当にありがとう。
本当に本当にありがとう。
大好きだよ、夏海。

亡くなった人の事を考えると、その人に花が降るんだって。まるで雨のように。
だから、最後のお願いです。
夏海は、僕を想っていて?
それで、僕にたくさんの花をちょうだい。
たくさんの花を降らせて。
最後のお願い、叶えてくれますか。
大切な夏海からの花は、きっと綺麗なんだろうな。
僕ね、生まれ変わりって信じてるんだ。
だから、僕が生まれ変わったら、きっとまた会いに行くから。絶対巡り会おうね。
だから、『さよなら』は言わないよ。
またね。
【如月 愁より】

もう、耐えられなかった。耐えることができなかった。
「あああ…ああああああ!」
あなた以上に大切な人なんて、できないよ…。
私の方が、あなたから幸せを貰ったんだよ…?
感謝を伝えなきゃいけないのは私の方だよ。
ありがとう。ありがとう、愁。
本当に大好き。言葉じゃ表すことの出来ないくらい、私はあなたを想ってる。
その時、手紙の袋の中になにか固いものが入っているのに気が付いた。
ポトッと私の手のひらに落ちてきたのは、『丸い水色の硝子が付いているネックレス』だった。そう。あの日、事故の前日にお父さんが私にくれた最高のプレゼント。
もう戻ってくる事はないと思っていたのに。
彼からの、最後のホワイトデーのお返し。
世界で1番の宝物。
お父さんと愁から2度も渡されるなんて、私は幸せ者過ぎる。
私はそれを、頭に通し首に下げた。
それは、買った時より傷ついていたけれど、私はこっちの方がいいと思えた。
彼と、お父さんの命が宿っている気がしたから。守られているような気がするから。
私はズズッと鼻水をすすり、笑顔で笑った。彼が好きだといってくれた笑顔で。