儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

そう思うと、彼の死がどんどん現実になってきて、私は少し遅く泣き叫んだ。
声が枯れてしまうのではないかと思うほど、ずっとずっと泣き続けた。
嫌だよ…行かないでよ…私を1人にしないで…。
どれくらい時間が経ったか分からないけれど、気付いたらあと少しで夜が明けるところだった。
朝日がこの病室と彼を照らす。
彼のいない一日が始まる合図のようだった。
「夏海ちゃん?」
ドアの傍で立っていたのは、愁を見て呆然としている佐々木さんだった。
「愁くんは…そう。夏海ちゃん、彼から手紙を預かっているの…愁君言ってたわ。『多分夏海は、僕が死んだらいつもの可愛い笑顔じゃいられなくなるだろうから、この手紙を渡してほしいんです。最後のお願いです、お願いします』って。本当に、大切にされているのね。愁君はよくね、私に話してたのよ、夏海ちゃんの事。その時は、普通の男の子みたいに微笑んでた。だから、良かったらこの手紙、読んであげてね」