私は来客用の椅子に座り直した。
体は離れたけれど、手だけはずっと繋がっていた。
「なつみ…?一緒にここで、夜空見た時の事、覚えてる…?」
彼の声は、他の誰よりも弱々しかった。
声を出すのが精一杯のように、声は細く、掠れていた。
「うんっ…覚えてるよ…」
あなたと過ごした全部の思い出は、一時も忘れた事はなかったよ。
全部私の宝物なんだよ。あなたといた事が、私の宝物なんだよ。
どんなに綺麗な場所でも、どんなに楽しい場所でも、あなたといれば何倍も綺麗で、楽しく感じることが出来るんだよ…。
「僕ね、あの時願ったんだぁ…『大切で、僕の愛おしい人が、ずっと幸せに生きていけますように』って…その大切で愛おしい人は…夏海なんだよ…僕にとって夏海は、本当に大切なんだぁ…だから、ありがとう…最後にたくさんの幸せな思い出をくれて、ありがとう…夏海…」
「私っ…愁が好きだよ…一緒にいたいよっ…行かないで…私を1人にしないでっ…」
「ありがとう。でも夏海はもう、1人じゃないよ…。だから、大丈夫だよ」
「愁がいなきゃ、楽しくないよっ…」
「最後に、夏海と一緒に…夜桜が見たかったなぁ…」
私はハッと思い出し、持ってきた絵を彼が見えるように高く上へと持ち上げた。
「え…?夜桜…?」
「うんっ…!愁のために、愁のためだけに描いた、夜桜。…見て!桜の下には、ちゃんと私たちがいる!愁はちゃんと生きたんだよっ…ここで、この美しい世界で、生きたんだよっ…」
「うわぁ…凄く、綺麗…ありがとう夏海…本当にありがとう…あぁ、死にたくないなぁ。もっと、夏海と一緒にいたいなぁ…2人でたくさんの思い出を作っていきたかったなぁ…僕の人生に、幸せを、色をくれてありがとう…ちゃんと、生きるんだよ、この美しい世界で…」
その言葉を最後に、彼は息を引き取った。
いつまでも、彼との時間が続いて欲しいと願っただろう。
いつまでも、一緒にいられたらと願っただろう。
でも、ここでさよならなんだね。
この世界で私たちの境界線は、もう一生交わる事はないんだね。
ゆっくりと瞼を閉じた彼の顔は、美しいという一言が1番合っていた。
その瞬間、時計が0時を指していた。
「愁、お誕生日おめでとう」
もう、彼と会うことも、話す事も、触れることも出来ないんだ…。
体は離れたけれど、手だけはずっと繋がっていた。
「なつみ…?一緒にここで、夜空見た時の事、覚えてる…?」
彼の声は、他の誰よりも弱々しかった。
声を出すのが精一杯のように、声は細く、掠れていた。
「うんっ…覚えてるよ…」
あなたと過ごした全部の思い出は、一時も忘れた事はなかったよ。
全部私の宝物なんだよ。あなたといた事が、私の宝物なんだよ。
どんなに綺麗な場所でも、どんなに楽しい場所でも、あなたといれば何倍も綺麗で、楽しく感じることが出来るんだよ…。
「僕ね、あの時願ったんだぁ…『大切で、僕の愛おしい人が、ずっと幸せに生きていけますように』って…その大切で愛おしい人は…夏海なんだよ…僕にとって夏海は、本当に大切なんだぁ…だから、ありがとう…最後にたくさんの幸せな思い出をくれて、ありがとう…夏海…」
「私っ…愁が好きだよ…一緒にいたいよっ…行かないで…私を1人にしないでっ…」
「ありがとう。でも夏海はもう、1人じゃないよ…。だから、大丈夫だよ」
「愁がいなきゃ、楽しくないよっ…」
「最後に、夏海と一緒に…夜桜が見たかったなぁ…」
私はハッと思い出し、持ってきた絵を彼が見えるように高く上へと持ち上げた。
「え…?夜桜…?」
「うんっ…!愁のために、愁のためだけに描いた、夜桜。…見て!桜の下には、ちゃんと私たちがいる!愁はちゃんと生きたんだよっ…ここで、この美しい世界で、生きたんだよっ…」
「うわぁ…凄く、綺麗…ありがとう夏海…本当にありがとう…あぁ、死にたくないなぁ。もっと、夏海と一緒にいたいなぁ…2人でたくさんの思い出を作っていきたかったなぁ…僕の人生に、幸せを、色をくれてありがとう…ちゃんと、生きるんだよ、この美しい世界で…」
その言葉を最後に、彼は息を引き取った。
いつまでも、彼との時間が続いて欲しいと願っただろう。
いつまでも、一緒にいられたらと願っただろう。
でも、ここでさよならなんだね。
この世界で私たちの境界線は、もう一生交わる事はないんだね。
ゆっくりと瞼を閉じた彼の顔は、美しいという一言が1番合っていた。
その瞬間、時計が0時を指していた。
「愁、お誕生日おめでとう」
もう、彼と会うことも、話す事も、触れることも出来ないんだ…。


