儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

「今度は、僕の番だね…って言っても、何か作れるわけじゃないんだけど…どうしよっか…何か欲しいものとかある?」
彼はキョトンという音が1番似合うような表情をした。
「そうだね…私は愁からならなんでも嬉しいよ」
彼が言っているのはホワイトデーの事だ。
そして彼の誕生日。彼の人生の終わりの日。
彼からのお返しが楽しみでもあるが、1番のお返しは、彼が生きているという事実だけでいい。彼が生きているということが、私にとっての最高のプレゼント。
でも、これを口にしてはいけない。
1番そう思っているのは愁本人なのだから。
「そう?んー、そう言われると迷うなぁ」
彼は頭の中で私へのお返しを考えているのか、時々口角を上げた。ふふっという楽しそうな声をもらしたりしている。
私はそんな楽しそうにしている彼の顔を見ていられなくて、話題を変えた。
「愁、鼻先赤いよ?寒いから病室戻ろ?」
「そうだね」
そう言って私たちは屋上を後にした。