そして、その後すぐに他の生徒が入ってきたため、柊君は何も無かったかのように談笑をしていた。一方梨々花は私の事を睨みながら近付いてきて、本を無造作に置き、グループの元へ帰って行った。
お父さんからの最後の誕生日プレゼント、ボロボロだなぁ…。
梨々花は知らないんだ。両親を失う時の悲しみや、寂しさ、辛さを。
やっぱり嫌いだ、あういう人達。人は、失ってから初めてその人がどれくらい大切な存在だったか気付く。いつも親がうざい、勉強しろってうるさい、ー消えればいいー。私はそう望んでなくても失った。そして、失ったものはもう二度帰ってこない。
授業中、いつものようにペン回しをしながら、窓の外側を眺めていると、家の近くの森に目がいった。あんな場所あったんだ、知らなかったな…。今度行ってみようかな。
そう考えていたら、いつの間にかチャイムが鳴っていて、号令の合図をだしていた。
お昼休み、自分で作ったお弁当を持って屋上へ向かった。