儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

よりによって、好きな人にこんな姿見られるなんて。
「こ、この後行きたいところとかある?」
私の服が乾いてきた頃、彼は私にそう問いかけた。
「あ、じゃあ、行きたいっていうよりも、やりたいことがあるんだけど」
「何?」
「2人で、写真撮りたい…です…」
最後は聞こえていなかっただろう。
水族館は、デートスポットとしても有名だ。
だからこそ、ここで彼と撮りたいのだ。
いつもみたいに、いいよって言ってくれると思っていた。
「ごめん…僕、写真苦手で」
「え、?」
もうスマホを出そうとしていた手が止まる。
「その…自分が生きてたっていうもの、あんまり残したくなくて…」
「そっ…か。大丈夫!」
なぜか、少し壁を作られたみたいだと思ってしまった。いや、思うじゃなくて、実際そうだったのだろう。彼は、自分が生きていたというものを残したくないと言った。
じゃあ、彼が生きていたというのは、どうやって証明すればいいの?
彼がここにちゃんと居たというのは、形に残らないっていうの…。