儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

私は、お母さんとお父さんが亡くなったと知らせをうけた時、真っ先に浮かんだのが驚きと後悔だった。
なんでいつも感謝を伝えていなかったんだろう。
なんで、ありがとうとかごめんなさいとか、些細な感情を口にしなかったんだろう。
失ってからでは遅いという現実を突きつけられた感覚だった。
だから、彼にはありのままの気持ちを伝えたいと思ったのだ。
『好き』という気持ち以外は。
「じゃあ、他のところ行く?」
「うん!」
「どこがいい?」
「愁が行きたいところで良いってば」
「ありがとう、夏海は優しいね。そうだな〜…あ!見て!イルカのショーやるらしいよ!見に行きたい!」
彼はまた犬に戻り、私に甘えてきた。
本当に、可愛い。可愛すぎる。
「うん…行こうか…」
「嫌だった?」
彼はまさに耳と尻尾を垂らして、きゅうんと言っているようだった。
「全然…大丈夫…」
私は自分の気持ちを抑えるのが精一杯で、彼の可愛さに胸が締め付けられた。叫んでしまうのを抑えるように息を止めて返答をした。