儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

彼は受付の人に、チケット2枚くださいと言って、財布を取り出した。
「愁?私のチケットは払うから大丈夫だよ」
出来ればいつもの感謝を込めて、愁の分も払いたいと続けようとしたけれど。
「ううん、いつも一緒にいてくれてるから、お返しさせてよ」
彼はそう言うと、私が言おうとした間にもうお金を出してしまっていたため、言葉を詰まらせてしまった。
さすがに奢ってもらうのは申し訳ない気がして、水族館の中に入ってからもお金を返そうとしたが、綺麗に話を逸らされてしまった。
私が先に折れてしまい、渋々愁の言う通りにさせてもらった。
入った瞬間、まるで異世界に来たような感覚だった。彼曰く、初めてきたらしい。
ならば私は、初めての水族館を楽しませる義務がある。
「どこから回りたい?」
彼の頭には耳が生えていて、お尻ら辺には尻尾が生えていた。まるで犬のようにワクワクした瞳は、誰が見ても惚れてしまうだろう。
「愁が行きたい場所でいいよ!」
多分彼は私を1番に優先させているから、自分の気持ちを後回しにしてくれている。