儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

「あ、ごめん…。今日は少し検査があるからさ、一緒にいられないんだ。ごめんね」
彼は笑う。まるで消えいってしまうのではと思うほど脆い笑顔だった。
私が悲しい顔をしてはいけないと思い、今できる精一杯の笑顔を彼に届けた。検査じゃしょうがないよね、また来るねと言おうとしたら、彼の方からそれでねと言葉を続けた。
「だから、1月31日に一緒に出かけない?」「…え?」
「担当医師の人に言われてね、たまには外の空気を吸ってきたらって言われたんだ。だったら夏海と出かけたいなって思って」
彼は続けて、僕が抜け出していること知らないからねと、口の前に人差し指を立てた。まるで悪戯が成功した子供のように、白い歯を見して笑う。
「私で、いいの?」
「夏海がいいんだ」
夏海"が"なんて言われたら、期待してしまうじゃない。この恋の結末はどうなるのかな。叶わないとしても、私が彼を好きだという気持ちは変わらない。どんな結末だとしても、受け止めて前に向かわなくてはいけない。
「そっか…ありがとう。楽しみにしてるね!体調気を付けてね」
「うん、気を付けてね」
私はまたねと告げて、病室を後にした。
今日は柊君が彼を助けてくれて本当によかった。もしあのまま私が混乱して助けられなかったらと思うと、恐怖を感じた。
お義母さんとお義父さんはまだ神社にいるのだろうか。
愁が倒れた時、知られちゃったかな。
私は小さくため息をもらす。
よしっと自分の頬を叩き、気合いを入れ直した。愁は、私の笑顔が好きだと言ってくれたから。
私も好きだよ、愁。あなたの本当の笑顔が大好き。今自分が置かれている現状をも吹き飛ばしてしまうような無邪気で可愛い笑顔。
そういう、自由に生きているようなあなたに、救われたんだ。
だから、今度は私が救うから。あなたが苦しい、辛いって感じた時、絶対助けるから。