私があの人達の事を嫌いな理由は、中学の時の自分を見ているみたいだからだろう。
その時気のせいだろうか、咲良たちのグループの人達から視線を感じたのは。

放課後、部活にも入っていない私はすぐ学校を後にした。
両親の事故の後、大人達の話し合いの結果、私はお母さんの妹の家族になる事が決まった。当時、その家族には元々、私より2つ下の小学6年生の女の子・美麗がいた。美麗は、私の事を良いように思っていないだろう。自分のお父さんとお母さんを独り占め出来ない悲しさはとても理解出来る。
でも美麗が、その悲しさを感じる日は来ないだろう。お義母さんもお義父さんも、私の事なんて面倒だと思っているのだから。
家に着くと、私以外の家族3人が夕食を食べながら談笑していた。お義母さんと視線が合った気がしたけれど、私はすぐ2階の自分の部屋へと向かおうと、階段を駆け上がった。もうお母さんからは「おかえり」を聞くことが出来ないから、私は誰にも「ただいま」を言わない。お母さんからの「おかえり」を最後にしたいから。