儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

「もう、桜を見ることは出来ないのか…最後に、見たかったなぁ…夏海と一緒に」
「うんっ…うんっ…」
私は下に俯き、涙を落とした。
「夜桜が、見たかったなぁ…」
「夜桜…?」
「うん、夜桜って、なんか好きなんだよね。夜の暗闇に包まれてしまっても、美しさが伝わってくるでしょ?灯篭に灯されながら、自分の美しさを輝かせているから、凄く綺麗だなって心の底から思えるんだ」
「私も、夜桜好き…昔お母さんとお父さんと3人で夜のお花見したんだ。その時に見た桜が凄く綺麗で、ずっと覚えているの。だから、次はあなたと、見たいなぁ…」
こんな思い、叶わないことは分かってる。それでも、言わずにはいられなかった。叶わないって分かってても、励ましなんかでもない。ただ、今言葉にすれば、叶うかなって思ったから。この美しい夜空が、私達の願いを叶えてくれるって、そう信じることしかできなかった。
「うん。僕も、夏海と夜桜見たかったな…」