儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

「今日の夜空も、凄く綺麗だね」
「うん!凄く、綺麗」
少しの間沈黙が続き、この静けさを壊したのは愁だった。
「そういえばさ、夏海は家族と新年迎えなくてよかったの?」
彼は本当にそう思っているのだろうか。
いや。その表情を見る限り、本当に疑問らしい。私は、あなたと過ごしたいと思って来たのに。
「あなたと過ごしたかったから」
「へ…?」
病室も世界も暗闇に包まれていながらも、彼の顔が赤面していったのは丸分かりだった。
「…あははっ!」
真面目な顔をして、『あなたと過ごしたい』と言う私と、その言葉に照れている君。
その状況が面白くて、つい笑ってしまった。
「ちょ、笑わないでよ」
彼は私が笑った事に怒りながらも、優しい笑顔で返してくれた。
新年まで、後10分をきったところだった。
「あぁ、今年が終わっちゃうね」
「うん、そうだね」
「今年には、色んな思い出があるから、悲しいなぁ…」
そんな、終わりみたいな言い方しないで…。
君には、まだ時間はある。他の人より少ないかもしれないけれど、それでも、まだあるんだよ…。