儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

私は深呼吸をし、彼の病室の扉をノックした。最初は何も返信がなかったため、もう寝てるのかと思ったが、少し待っていたら、私の大好きな声が届いた。
「誰、ですか?」
「私だよ、夏海」
「え、夏海?!」
次の瞬間には、もう扉が開いていた。
「ほんとに、夏海だ…」
そう言うと彼は、びっくりしたと言いながらも、安堵の息を落とした。
「良かった、あと少しで寝る所だったよ」
「嘘…ごめんね」
「あ、いや、違くて…ただ、寂しいって気持ちから逃げようとしてただけだから。だからありがとう」
そっか、来て正解だった。
「なら、良かった!」
私も笑顔で返す。彼の優しさは、人にも伝染すらしい。彼といる時の私は、なぜか素直でいられている気がした。
「…あと少しで、新年だね」
「うん、そうだね…やっぱり時間は、止まってくれないかぁ…」
ふざけながらも、悲しい表情をみせる彼。
あの日みたいに、空を見上げながら。
今日の空は、クリスマスの日に劣らないくらい、美しかった。