儚く美しい彼に、幸せの花雨を。

思わず叫んでしまいそうになったけれど、彼の小さな呼吸が私を冷静にさせた。
…ほんと、綺麗な顔だなぁ。
私は無意識に、愁の頭に手を置いて撫でていた。髪、綺麗だな。艶が凄い。
その時、彼は小さく呟いた。
「んん、お母さん…」
と。
そういえば、家族の話、聞いた事ないな。
私はよく愁の病室に顔を出しているけど、1度も見た事がない。
手が止まっていたからなのか、愁は目を擦りながら起き上がった。
「うわぁ!ごめん!」
私は思わず謝ってしまい、愁はへ?というような顔で私を見つめた。
「いや、頭、撫でちゃったから…」
私は恥ずかしくなり、顔を下に向けた。
こんなの、こんなの恥ずかしすぎる。何が頭撫でちゃっただ。
頭の中が真っ白になってしまい、言い訳が思いつかない。
愁があまりにも長く黙っているから、私は少しチラッと視線を向ける。
すると、私の瞳は彼を捉えた。
愁が片手を頭に置き、もう片方の手で口を抑えて、顔を真っ赤にしていたから。
「……へ?」
なんで、照れてるの。