大人は幼児にも劣るときがある。残念ながら。



「きゃあぁ。ひやあぁ」

 幼児はよく遊ぶ。

 一日中、奇声を発しながら、支離滅裂な言葉が口からあふれだしている。

「あのね。そのね。あのね」

 言葉がなかなかでて来なくて、前置きが長い。

 そして、言いたいことは大したことがない。

 ブロックを組み立てたり、絵を描いたり、中高生よりもよほどクリエイティブな遊びをしている。

 ときどき、

「家族ごっこしよ」

 というのでドキリとする。

 思春期に「家族ごっこ」と口にしたら、家庭生活が茶番だといっていることになる。

 これはどうやら「ままごと遊び」のことらしい。

 子どもたちはYouTubeが大好きで、ロシアの幼児向け動画をよく見ている。

 同じ番組を飽きもせず何十回でも見る。

 地上波と違って、気に入らなければストップして違う動画を見ることができる。

 そして、面白い場面だけを何度も戻しては見ている。

 感染症対策で、自宅に籠っていたと気に、タブレットを買い与えた。

 すると、3歳になったばかりの子でも、教えなくてもどんどん試行錯誤して使えるようになってしまった。

 大人も見習うべきだ。

 マニュアルを読んで理解しようとする大人が多いが、

 実際に操作してみると大したことはやっていない。

 大人は幼児にも劣るときがある。残念ながら。