自宅に着いて食事をしながら今日の事を話すと、母さんは終始笑顔を絶やさなかった。俺自身も、こうして友人のことを家族に話したのはいつ振りだっただろうかと首を傾げるほどだから、特に母さんは気になって仕方がなかったようだ。

 風呂に入って寝る準備を済ませ、ベッドに横になってスマートフォンを操作していると、牧野からグループチャットに今日撮った写真が何枚も送られてきた。どれも皆、楽しそうに笑っている写真ばかりで、つい数時間前のことなのに懐かしく思える。

 全部は保存しきれないから、全員の集合写真だけ自分のフォルダへ移すと、観覧車で撮った凛花との写真を開いた。

 高校生活の中で、一番楽しかったかもしれない。
 何も考える余裕もなく、いつの間にかぐっすり眠ってしまった。

 翌日、昼間にゆっくり起きてリビングに行くと、「珍しく幸せそうな顔をして寝ていたから起こせなかった」と父さんから茶化され、数日間は話のネタになったのは、また別の話だ。