ゴンドラを降りて、先に戻っていた四人と合流する。出入り口のある正門まで戻る道中、佐山が興奮気味に聞いてきた。

「お前と古賀ちゃんが乗ってたゴンドラ、めっちゃ揺れてたけど中で何してたんだよ?」
「え? 強風だろ?」
「確かに風吹いて揺れたけど、俺達のところそんなに揺れてなかったし。てっきり中で暴れてるモンだと……って、その蔑む目で見るな!」

 強風や地震かと思っていた大きな揺れは、俺達が乗っていたものしか現れなかった?
 揺れたのは仲介人が消えた直後だ。跳躍力でもついているのだろうか。思わず舌打ちをしそうになるも、平然を装った。

「多分、俺がスマートフォンを落して屈んだのと、同じタイミングで風が吹いたんだ。手すりとか捕まってなかったから、揺れに耐え切れなくて転んだけど……」
「本当かぁ? 古賀ちゃんに確認していい?」
「いいけど、アイツ寝てたから覚えてないと思うよ」

 閉園時間を告げる音楽が流れてくる。駅行きのバで他の来場者と混ざってしまい、凛花と青山、森田の三人とは離れて座ることになった。

 窓側から牧野、俺、佐山の順で座って出発すると、佐山はものの数分で口を開けたまま眠ってしまった。

「一番盛り上げてくれてたもんね、佐山くん」
「駅まで直行だし、放っておくか」
「そうだね。……それで溝口くん。凛花ちゃんとはどうだった?」

 わくわくと笑みを浮かべて聞いてくる牧野に、少し考えてから口を開いた。

「半分は言えた、と思う。凛花も教えてくれた。……けど」
「けど?」
「……それだけ、だな」