仲介人はポンチョを掴む手を今度こそ振り払うと、突然ゴンドラががくん、と大きく揺れた。
 咄嗟に手すりに捕まって、未だ眠っている凛花が離れないように抱き締めた。強風か地震か。揺れが激しくて立ち上がることができず、外の状況がわからない。ようやく揺れが落ち着いて、周りを見渡せる頃には、ゴンドラは地上へゆっくりと下がっていくところだった。他のゴンドラの揺れも変わらないため、きっと強風で煽られたのだろう。

 顔を上げると、目の前に座っていた仲介人がいないことに気づいた。ドアや天井から抜け出したわけでもなく、いつの間にか忽然と姿を消した。

「……なんなんだよ、アイツ」

 本当に人間じゃねぇのかよ。
 特に全て知っているかのように人を見下した言動に腹が立つ。最後に言われたのも、結局は自分で見つけなければ意味がないと再度言われたようなものだ。教えるどころか、ヒントすらなっていない。
 煮え切らない中でも凛花を席へ移すと、ぴくりと瞼が動いた。

「ん……」
「凛花? 起きた?」
「あ、れ……? 私、なんで!」

 慌てて凛花が飛び起きると同時に、ゴンドラがまた大きく揺れた。慌てて近くの手すりを掴んで、彼女の方に倒れ込むのを堪える。

「いきなり動くなって! ゴンドラの中なんだから!」
「ご、ごめん! 忘れてた……」

 揺れがおさまるのを待って、そっと元居た席に座ると、凛花は苦い顔をして訊いてくる。