そんな時、凛花が助けてくれた。
「放課後に宿題のプリント持ってきてくれて、一緒に解いた。学校に行かない日があっても必ず声をかけに来てくれた。いつも俺のことを気にかけて一緒にいてくれる。周りには必ず陰口をする奴がいて敵だらけだったのに、凛花だけが助てくれた。……心強いと思う反面、何もできないまま、ただ凛花の後ろに隠れていた自分が情けなかった」
ここで一度、言葉を切った。
凛花に今まで一度も自分の考えを話してこなかったことを、ひどく後悔した。記憶を失った凛花に過去の話をして考えを訴えても、お互いに罪悪感しか残らない。それでもどこかで思い出してほしいと願ってしまう自分がいるのも事実だった。
事故が起きたあの瞬間――いや、二人が出会った時からずっと、俺の感情はぐちゃぐちゃで、自分でも整理できずにいたのかもしれない。
「だから、事故に遭ったお前が俺だけの記憶を失っているのを知って……安心したんだ。不謹慎なのはわかってる。自分でもおかしいと思った。でもそれ以上に、もう凛花が俺のことを考えなくて済むと思ったら……ホッとしたんだ」
「そんなの……」
「わかってる! ……勝手すぎるよな。でも、俺は忘れてほしかった。俺のことを忘れて、学校の友達と残りの高校生活を楽しんで、好きな奴と付き合って、俺の知らないところで幸せになってくれたらいいって思ってた。……それなのにお前は、なんで関わってくるんだよ? これじゃあ俺は……またお前に縋って、助けられようとしてる、最低な人間だ」
「放課後に宿題のプリント持ってきてくれて、一緒に解いた。学校に行かない日があっても必ず声をかけに来てくれた。いつも俺のことを気にかけて一緒にいてくれる。周りには必ず陰口をする奴がいて敵だらけだったのに、凛花だけが助てくれた。……心強いと思う反面、何もできないまま、ただ凛花の後ろに隠れていた自分が情けなかった」
ここで一度、言葉を切った。
凛花に今まで一度も自分の考えを話してこなかったことを、ひどく後悔した。記憶を失った凛花に過去の話をして考えを訴えても、お互いに罪悪感しか残らない。それでもどこかで思い出してほしいと願ってしまう自分がいるのも事実だった。
事故が起きたあの瞬間――いや、二人が出会った時からずっと、俺の感情はぐちゃぐちゃで、自分でも整理できずにいたのかもしれない。
「だから、事故に遭ったお前が俺だけの記憶を失っているのを知って……安心したんだ。不謹慎なのはわかってる。自分でもおかしいと思った。でもそれ以上に、もう凛花が俺のことを考えなくて済むと思ったら……ホッとしたんだ」
「そんなの……」
「わかってる! ……勝手すぎるよな。でも、俺は忘れてほしかった。俺のことを忘れて、学校の友達と残りの高校生活を楽しんで、好きな奴と付き合って、俺の知らないところで幸せになってくれたらいいって思ってた。……それなのにお前は、なんで関わってくるんだよ? これじゃあ俺は……またお前に縋って、助けられようとしてる、最低な人間だ」