「バナナ感やばいね」
「それな。バナナと市販のミックスジュースを凍らせました感が拭えない」
「バナナ、リンゴ、ミカン……イチゴ?」
「残念。イチゴは入っていない。『隠し味でニンジンが入ってます』だって」
「それフルーツじゃない! 根菜だよ根菜!」
「その顔は美味しくなかったんでしょ。ニンジン嫌いだもんね」
「うっ……」
凛花が眉間にシワを寄せる時は、苦手なものを目の前にした時だ。野菜ジュースも苦手だから苦戦しているのがわかる。俺はリュックからペットボトルに入ったお茶を取り出して差し出す。
「生ぬるいけど」
「うう……ありがと。って、泡できてる!?」
「麦茶ビールの完成」
「小太郎、そういうおふざけ好きだよね」
「大丈夫、そういうのは凛花にしかしない……ってオイ!」
ペットボトルを渡しながら言うと、凛花が急に固まってペットボトルが地面に落ちていく。間一髪でキャッチすると、我に返ったように慌てて謝った。
「ご、ごめん……いま……」
「ちゃんと持てよ。何で固まってんの。なんか俺、変なこと言った?」
「……った」
「は?」
「『凛花』って、呼んだ……!」
耳を真っ赤に染めた凛花を目の前に、一瞬思考が止まった。
たった数分の出来事を思い返すと同時に、なぜか自分の体温が急上昇していくのを感じた。確かに本人を前にして名前を呼んだのは久々だったかもしれない。とはいえ、そんなに取り乱すことか?
「別に普通だろ?」
「だ、だだだって、学校では名字だし、話していても『お前』とかだったじゃん!」
「たまたまだよ」
視線を逸らしてそう答えると、凛花は何も言わずにペットボトルの麦茶をかっさらい、一気に飲み干した。そして空になったペットボトルを押し付けると颯爽と歩き出した。
暑いのか、耳まで真っ赤に染まっている。
「なんで怒ってんだよ……?」
「怒ってない! 小太郎のわからず屋!」
「はあ?」
「それな。バナナと市販のミックスジュースを凍らせました感が拭えない」
「バナナ、リンゴ、ミカン……イチゴ?」
「残念。イチゴは入っていない。『隠し味でニンジンが入ってます』だって」
「それフルーツじゃない! 根菜だよ根菜!」
「その顔は美味しくなかったんでしょ。ニンジン嫌いだもんね」
「うっ……」
凛花が眉間にシワを寄せる時は、苦手なものを目の前にした時だ。野菜ジュースも苦手だから苦戦しているのがわかる。俺はリュックからペットボトルに入ったお茶を取り出して差し出す。
「生ぬるいけど」
「うう……ありがと。って、泡できてる!?」
「麦茶ビールの完成」
「小太郎、そういうおふざけ好きだよね」
「大丈夫、そういうのは凛花にしかしない……ってオイ!」
ペットボトルを渡しながら言うと、凛花が急に固まってペットボトルが地面に落ちていく。間一髪でキャッチすると、我に返ったように慌てて謝った。
「ご、ごめん……いま……」
「ちゃんと持てよ。何で固まってんの。なんか俺、変なこと言った?」
「……った」
「は?」
「『凛花』って、呼んだ……!」
耳を真っ赤に染めた凛花を目の前に、一瞬思考が止まった。
たった数分の出来事を思い返すと同時に、なぜか自分の体温が急上昇していくのを感じた。確かに本人を前にして名前を呼んだのは久々だったかもしれない。とはいえ、そんなに取り乱すことか?
「別に普通だろ?」
「だ、だだだって、学校では名字だし、話していても『お前』とかだったじゃん!」
「たまたまだよ」
視線を逸らしてそう答えると、凛花は何も言わずにペットボトルの麦茶をかっさらい、一気に飲み干した。そして空になったペットボトルを押し付けると颯爽と歩き出した。
暑いのか、耳まで真っ赤に染まっている。
「なんで怒ってんだよ……?」
「怒ってない! 小太郎のわからず屋!」
「はあ?」